SSブログ

産後うつ病 [救急医療]

  ↓ポチッとランキングにご協力を m(_ _)m
 

今日は9月10日。実は、こんな日。世界自殺防止の日 。

世界保健機構と国際自殺防止協会が2003年にスウェーデンのストックホルムで開催された世界自殺防止会議で、会議初日の9月10日を「第1回世界自殺防止の日」として制定した。自殺に対する注意・関心を喚起し、自殺防止のための行動を促進するのが目的。

というわけで、本日のエントリーは、自殺関連としてみたい。
皆さんは、産後うつ病(Post-partum depression)ということを聞いたことがあるだろうか?

まずは、今年の2月にあった悲しいニュース。http://hochi.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20070203-OHT1T00122.htm 

日本テレビのアナウンサー・大杉君枝(おおすぎ・きみえ=旧姓・鈴木)さん(43)が2日早朝、東京・渋谷区の自宅マンション8階ベランダから転落死していたことが分かった。遺書のようなものが発見されており、警視庁渋谷署では自殺とみて調べている。大杉さんは昨年10月に第1子の男児を出産し、現在は育児休暇中だった。 (2007年2月3日)

ご冥福をお祈りします。

さて、引き続きまして自験例。 (いつもの事ながら、適宜脚色あり)

32歳 女性  死にたい

4ヶ月前に出産したばかり。死のうと思って、一人で森に入って数十キロを歩き回るも死に切れず、木の枝を飲み込んで死のうと思ったが、苦しくなって救急車で来院。 内視鏡的に数本の木枝を取ることができた。二日間内科で様子を見た後、精神科へ転院となった。

2つの症例の共通点は、出産後です。
一般的に、出産後は、うつ病発症のリスクが高まるといわれています。
参考URL⇒http://mama-blue.net/modules/xoopsfaq/index.php?cat_id=1

この2例は、産後うつ病であったかどうかは、私には正確なことはわかりません。うつ病の患者さんは、しばしば身体症状を主訴に来院をします。時間外診療の場でも、そういうアンテナを持って診察をすることはできると思います。うつを早期に疑うことさえできれば、専門家への診察へつなぐことができます。ただ、知らないと疑うことすらできません。だから、知識としては知っておきたいところです。

関連する新聞記事の引用です

2007.06.17 東京朝刊 
出産後、不眠や食欲不振、やる気の喪失などの状態が2か月続いています。調子がよい時もありますが、また悪くなります。家族は「暇過ぎるせいだ」というのですが、どうしたらよいでしょう。(埼玉・女性)

◆「うつ」発症、周囲の支援求めて
◇吉田敬子・九州大学病院 精神科神経科講師(福岡市)
出産を終えた女性のご家族や周囲の方々の多くは、母親は幸せな気分を感じていると思っています。しかし、母親によっては、この時期は祝福を受けても実感がなく、疲れやすく、ぼんやりした状態が続きます。
質問者は不眠・食欲不振をはじめ、気力低下があります。「不調は気のせいか」と思うほど、一時的には調子のいい時があるものの、再び悪くなるという繰り返しが2か月も続いていることから、産後うつ病を発症していると考えます。
産後うつ病の発症率は10人に1人と高く、まれな病気ではありません。出産後の1~2週から数か月の間に発症し、それが少なくとも数週間は続きます。
経過が長引くと、気分の落ち込み、何事にも興味や関心がなくなる、赤ちゃんにわが子という実感が持てない、考えがまとまらない、などの症状が顕著になります。罪悪感に悩み、
自殺や赤ちゃんとの心中が心をよぎることもあります。重症例では、抗うつ剤などの薬物治療が必要になります。
しかし多くの場合、症状は軽くすみます。
産後うつ病を見逃さず、早期に対応することが大切です。
まずは、自分の気持ちを身近な人に打ち明けて、理解や支援を求めてください。幸い、保健師らによる新生児訪問の際に、母親の産後うつ病の発見に努める自治体も増えています。
産後うつ病になっても、
周囲の理解と協力があれば育児を続けられます。母親が心身ともにゆっくり休むことができれば、症状は次第に軽減していきます。(読売新聞)

 

当ブログでの関連エントリーです。 ⇒ 希死念慮という地雷
このエントリーで触れたことを再掲します。

自殺の対応の原則はTALKである。

Tell      患者に心配なことを話してもらいなさい
Ask      患者に希死念慮の有無をストレートに尋ねなさい
Listen    患者の絶望的な気持ちを傾聴しなさい
Keep safe 患者の安全を確保しなさい

たとえ専門外の時間外診療であっても、それが自殺予防の一助となることを願ってやみません。


コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 2

コメントの受付は締め切りました
Taichan

maternity blueはホルモンのアンバランスに起因して一過性ですが、産後うつはそれがもう少し長期化、重篤化したと単純に説明してよろしいでしょうか?2ヶ月続いているとありますが、定義はどうなっていたかな?とよく調べもせずにすみません。なな先生がご専門ですから意見を伺いたいところです。
by Taichan (2007-09-11 04:50) 

元なんちゃって救急医

>Taichan様
産後うつはそれがもう少し長期化、重篤化したと単純に説明してよろしいでしょうか?

うつの専門家の知見を正確に把握しての理解ではないのですが、私はそのように単純に理解しています。
by 元なんちゃって救急医 (2007-09-11 17:28) 

トラックバック 0

救急の日吐血という触れ込み ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。