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心臓しんとうを予防しよう [医療記事]

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以前のエントリーで、心臓しんとうを紹介した。 こちらです ⇒ Commotio cordis(心臓震盪)

今回、次のような記事を目にしたので、再度、心臓しんとうについて、このブログでも取り上げることにした。どうぞ、ごらんください。 今回は、具体的な予防策についてのお話です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071011-00000083-san-soci (魚拓

心臓しんとう 子供に多くの発症例 野球のボールを胸に受け不整脈、心停止
10月11日8時0分配信 産経新聞

 ■軽い衝撃、軽視せず/防具装着を

 
胸部に衝撃を受けることで不整脈を起こし、心停止に至る「心臓しんとう」。発育途上で、まだ胸の骨格が軟らかい子供が、野球のボールを胸に受けて発症する例が多く、手当てが遅れれば死に至る危険がある。今年も9月末までに全国で3件発生し、2人が命を落とした。不慮の事故を防ぐための対策と処置法をまとめた。

 (海老沢類)

 長崎県諫早市で9月、ソフトボール大会の試合中に、小学校6年の男児が左胸に死球を受けて一塁に走る途中で、突然グラウンドに倒れた。意識はなく心肺停止の状態。周囲の大人の的確な処置で男児は一命を取り留めたが、症状は「心臓しんとう」の典型だった。

 心臓しんとうは、胸部への衝撃がきっかけで起こる不整脈だ。心臓の筋肉がけいれんして血液を正常に送り出せなくなるため、処置が遅れると死に至る危険がある。

 心臓しんとうで子供を亡くした遺族や医療関係者らでつくる「心臓震盪(しんとう)から子供を救う会」(埼玉県)が確認したところ、平成9年から今年9月末までに心臓しんとうが原因とみられる救急搬送例は22件あり、13人が命を落としていた。胸の骨格が軟らかいために外部からの衝撃が心臓に伝わりやすい子供に起きやすく、
発症件数の9割以上が18歳未満だ。衝撃を与えたものは、野球のボール(硬式・軟式)が最多の10件。ソフトボール(3件)、サッカーボール(2件、いずれもゴールキーパー)…で、競技中のケースが大半を占めた。

 同会の代表幹事を務める埼玉医科大総合医療センターの輿水健治准教授は「胸骨や肋骨(ろっこつ)が折れるような強さではなく、
比較的軽い衝撃でも起こる。けんかの仲裁で肘(ひじ)が当たって発症した例もあり、日常生活でも注意が必要」と指摘する。
                   ◇

 心臓しんとうは、アメリカでは1990年代から「子供のスポーツ中の突然死」として注目されていたという。健康な子供にも起こるため、検査で兆候をつかむことはできない。ただ、起こりやすい状況はわかっていることから、用具の工夫やちょっとした注意で予防は可能という。

 輿水准教授が強調するのが、各メーカーから発売が相次いでいる「
胸部保護パッド」の着用だ。「ユニホームの下に着用するだけで、最も危険とされる心臓の真上を保護できる。慣れれば重さも気にならないので、野球でヘルメットをかぶるのと同じ感覚で着用してほしい」

 また、親やスポーツ指導者らの意識も変える必要がある。輿水准教授は「子供を指導するときには『頭を殴るな』というのが暗黙の了解だが、『胸を突くな』という教えも徹底してほしい。少年野球やソフトボールでは『胸でボールを受け止めろ』という旧来の指導は危険だ」と訴える。子供の命を守るため、輿水准教授の提唱する予防策を見て実行に移してほしい。
                   ◇

 万一、心臓しんとうが起きてしまった場合は、119番通報するとともに、AED(自動体外式除細動器)で心臓の除細動を行う。AEDがなければ救急車の到着まで心臓マッサージを続ける。「除細動が1分遅れるごとに救命率は7~10%落ちるとされるが、3分以内に実施すれば4人に3人は助かるという報告がある」と輿水准教授。周囲の人に大声で助けを求めてAEDを探してもらうなど、素早い対応が救命のカギになる。
 (※ブログ主より一言  心臓マッサージ=胸骨圧迫 です。
                 左胸を押すのではありません。胸部の中央を押すのです )

 輿水准教授は「
まさに現場でしか救えない。万一に備えて救命講習を受けておくのはもちろん、グラウンドにAEDを設置するなどして、子供たちが安全に運動できる環境を整備してほしい」と呼びかけている。

私も、小、中と少しだけ軟式野球をやっていましたが、「体でボールを受けろ!」なんて言われていたような気がします。 今は、こういう知識と予防策が普及してきた以上、以前の精神論的、根性論的指導は、もはや通用しなくなっているのかもしれません。小児の死亡は、病気よりも事故のほうが多いです。したがって、その予防という観点がすごく重要になります。 以前、高所平気症ってご存知のエントリーでも紹介させていただいた小児の救命の連鎖を再掲します。

この救命の連鎖の観点にたてば、胸部保護パッドの普及は重要と私は考えます。


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コメント 4

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あつかふぇ

ところで、心臓しんとうの原因ってなんでしょう?
by あつかふぇ (2007-10-12 14:46) 

元なんちゃって救急医

>あつかふぇ様

早速のコメントありがとうございます。

http://www.chuobyoin.or.jp/shinzou-shintou/sinzosintou-towa.html

いわゆる R on T です。
by 元なんちゃって救急医 (2007-10-12 15:54) 

ハッスル

いつも勉強させていただいてます。
私も野球を一時期たしなんでいましたが、先輩内野手が気合一番胸で打球を受け止めて、”ナイスプレー!!”とやっていました。当時は違和感ありませんでしたが、今から考えると可能性は高くないかもしれませんが怖いことですよね。
ICLSで指導しており、成人の場合一つ目のリングは”早い119”ですが、確かにその手前に”予防・啓発”のリングが必要ですね。
外傷の場合に”ヘルメット””シートベルト””エアバッグ””飲酒規制”がもっとも影響が強いのと同じようなことですね。
今度のICLSコースで強調してみます。
by ハッスル (2007-10-12 16:57) 

カテをやめたカテ屋

いつも思うんですが、”心臓震盪”という用語には違和感があります。普通の人は”脳震盪”との対比で、”梗塞より軽くて、放って置いても自然に治る状態”と思ってはいないでしょうか?
by カテをやめたカテ屋 (2007-10-13 07:10) 

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