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当直について考える [医療記事]

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多くの医療施設において、勤務医の勤務体制は、昼間通常に働いて、そのまま当直に入り、そして次の日も通常勤務を行なうというのが実情である。多くの医師達は、そのような勤務体制が法的に明らかにおかしいにも関わらず、その不条理な勤務体制の中、献身的な医療を行なっているのではないだろうか?
下図は、医師の当直例と、その間の看護師勤務体制の比較図である。

ご覧の通り、看護師勤務が5シフトの間に、医師はずっと一人で働き続けるのだ。 実は、「当直」という勤務体制は、働かないのが前提で、いざ働く場合には、別途、時間外手当てが出るというのが、法律上の建前である。このあたりの考察は、いつも勉強させていただいているYosyan先生のブログがベストでしょう。そこから、「当直」の建前を引用する。

http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20070516より引用

常態としてほとんど労働する必要がない勤務のみを認めるものであり、病室の定時巡回、少数の要注意患者の検脈、検温等の特殊な措置を要しない軽度の、又は短時間の業務を行うことを目的とするものに限ること。したがって、原則として、通常の労働の継続は認められないが、救急医療等を行うことが稀にあっても、一般的にみて睡眠が充分とりうるものであれば差し支えないこと。なお、救急医療等の通常の労働を行った場合、下記3のとおり、法第37条に基づく割増賃金を支払う必要があること

多くの勤務医たちは、自分達が、まともに現行法規で行動すれば、今の医療体制が回らないことを知っている。おそらく、管理者側も、そして元締めの厚労省もわかってはいるが、あまりにも公言してしまうと、国民の要求に答えられなくなるので、黙っているのだろうと私は考えている。昨年、奈良の産婦人科医師たちが、病院に過去の時間外労働分を請求する訴訟を提起しているはずだが、この問題は、大淀病院とは異なり、マスコミはあまり報道しないようだ。マスコミはなぜ報道しないのか? これを報道する都合が悪いと思っているのではないのか? そう勘ぐりたくなる。

今後、この問題に関しては、医師側のほうから、きちんと
できないものはできない
とまず声を挙げて、何も知らない一般の方々の意識を変容させていく必要があるかとは思う。

もう、今の世の中、皆さんのために
全力でがんばります
は通用しないのでないか。 あるいは、逆説的かもしれないが、できないと声を挙げることが、結果的には、国民の医療の要求に答えられることになりはしないだろうか?なぜならば、過酷な当直勤務に耐えられず、多くの勤務医たちが今次々と現場を立ち去っているのだから。

さて、今回の産業医研修を通して、今労働者の、過重労働問題が、産業医業務の一つとして大きくクローズアップされているということを知った。それには、労働安全衛生法が改訂され、昨年の4月より施行されていることが大きい。

改正労働安全衛生法のポイント

事業者は、労働者の週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、労働者の申出を受けて医師による面接指導を行わなければなりません

過重労働は、身体的には、心血管病変を突然発症させるリスクを上げる。急性心筋梗塞やくも膜下出血などが該当する。いわゆる、地雷的疾患だ。 そして、メンタル的には、うつ病、ひいては、過労死自死を誘発させるリスクを上げる。
ちなみに、ここ数年の医師の自殺数は、90人で推移していることのこと。 推察するに、法的に違反した当直勤務体制による過重労働がかなり影響しているものでないかと思案するしだいである。

このようなリスクマネージメントとして、医師(現実的には産業医)による面接が法で強制されることになったのであろう。
では、今後病院はどうするのか?いたるところで、
医師の医師による面接
が必要となるのではないか? 

ブログ主の勤務する病院では、昨年より各医師に自分の残業時間を自己申告するようになっているのだが、この法改正のためであったのかもしれないと気がついた。

私は、面接を受ける側ではなく、面接をする側に回りたいと思う。 


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