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白血病という地雷 [救急医療]

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時間外診療において、若い健康な人の発熱を診ることは、あまりにも日常的だ。そのほとんどが、自然治癒の経過である。時間外診療の大事なポイントは、これはおかしい?と思えるサインを注意深く拾い上げることなのだ。

血液、レントゲン、心電図など比較的簡単に行なえる検査が、そのアラームサインとして機能することもあるので、上手く利用したいものである。 参考URL → medtoolzさんのサイトのここ

1回目の受診ならば、検査なし様子をみるのもありだが、同じ主訴で短期間に2,3回目と再来する場合は、これは、十分に検査を行なったほうが良いと思う。 少なくとも私はそのようにしている。

時間外診療で風邪と思った人が、実は白血病・・・・・・・

恐ろしいパターンだ。忘れた頃に経験するパターンだ
 
しかし、多くは、血液検査さえしてしまえば、明らかな異常として引っかかってくるので、
何かおかしい? と気がつきやすいかもしれない。
もちろん、その確定診断は入院してからで十分である。(骨髄検査は、時間外外来ではしません)

検査をしないことが地雷を踏む。 そんな訴訟例をひとつ紹介しておきます。

白血病を風邪と誤診、死亡 医院、責任認め損賠 ○○地裁、和解
2002.03.02 ○○夕刊  
 S市内の内科医院で男性=当時(三三)=が、
かぜと診断され、約一カ月間治療を受けた後、別の病院で急性白血病であることが判明し、入院からわずか二日後に死亡したのは医院が適切な治療を怠ったためとして、O市内の遺族らが医院に約一億二千万円の損害賠償を求めた訴訟で、医院が責任を認め、約六千二百万円を支払うことで○○地裁で和解が成立していたことが二日、分かった。和解条項などによると、医院は男性の死亡に遺憾の意を表し、男性の妻に約三千百万円、三人の子供に各約千三十万円ずつを支払うという内容。訴状などによると、S市内に勤務していた男性は発熱に襲われ、解熱剤を飲んでも熱が下がらなかったために、平成X年n月初旬に医院で受診。風邪と診断され、注射や薬を処方された。しかし、その後も熱は下がらず、翌月までに医院を三回訪れたが、血液検査などはなかった。(n+1)月初旬、別の病院で血液検査を受けたところ、翌日に急性白血病の疑いがあることが判明。そのまま入院したが、二日後にくも膜下出血などで死亡した。このため、遺族は「すぐに血液検査を行っていれば、骨髄移植などで延命の可能性が高かった」と提訴。医院側は「白血病は特異な病気で早期診断は困難」などと反論していたが、最終的に責任を認め和解に応じた。原告側の代理人は「血液検査を全く行わず、別の病気も疑わないというのはずさんなケース」と話している。医院側は「コメントは差し控えたい」としている。
産経新聞社

まとめます。

本日の教訓
時間外の血液チェックは、アラームサインとして機能する。タイミングよく上手く利用せよ

 


コメント(8)  トラックバック(1) 
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コメント 8

コメントの受付は締め切りました
いなか小児科医

こんばんは
不明熱の原因として白血病が潜んでいることは時折経験することですね...。小児では、頑固な腰痛などがその初期症状であったりもします。
by いなか小児科医 (2007-07-14 23:22) 

moto

白血病といえば、ATLなんかは、非特異的な皮疹が先行することもありますよ。
むかし皮膚科医をやってたときに、皮膚生検しても入院精査してもどうにも診断のつかない変な皮疹の続く人がいて、転院先の開業医さんでいつのまにか白血化していてトラブって照会があり、肝を冷やしたことがあります。
診断のつかない、わけのわからないときに、とりあえず防衛策として、採算かんがえずに(とくに勤務医であれば)あらゆることやっておいて損はないと思いました。
白血病の皮発も、特異疹(病理で白血病細胞が出ている)であれば、生検でわかりますが、非特異疹(炎症変化のみ)だとなあ・・いま、AIDSとかも増えてきて、ああいうのも皮疹だけうったえてくる人いるんでしょうね。
by moto (2007-07-14 23:42) 

moto

わけのわからない皮疹といえば、以前、知り合いの先生から「変な皮疹のひとがいるんで見てくれ」と言われてメールで画像送ってもらったところ、典型的な壊そ性膿皮症で、潰瘍性大腸炎の合併はないか?と聞き返したところ、もともと下痢で診ていた、とビンゴのひとがいました。
皮膚科が非専門の先生は、信用できる皮膚科の先生となかよくして、写真送って助言してもらえるようにしておくといいかもしれません。
by moto (2007-07-14 23:51) 

コラレス

この地雷踏んだ事があります。

 「幼稚園の先生から顔が黄色いと指摘された」と時間外受診。お母さんから見たら普通。僕がみても普通。ROSも陰性。念のため取った生化学は問題なく、CBCは凝固していました。

 小児を再度採血するのはためらわれたので、翌日の小児科再診としたら、ALLでした。顔が黄色いのは貧血。幼稚園の先生はさすがだと思いました。CBCが凝固することはよくあるそうです。

 翌日のフォローであったため、トラブルにはなりませんでした。
by コラレス (2007-07-15 00:08) 

元なんちゃって救急医

http://www.kingdom.or.jp/nanchie/html/09/02_18.html

のサイトのコメント23番も注目ですね。

まさにこのエントリーとそっくりです。
by 元なんちゃって救急医 (2007-07-15 18:47) 

元なんちゃって救急医

>いなか小児科医様
コメントありがとうございます。 腰痛もあるのですか! 驚きです。

>moto様
コメントありがとうございます。皮膚所見と血液疾患・・・・
正直、きついです。 見落としそう・・・・


>コラレス様
コメントありがとうございます。さすが幼稚園の先生!ファインプレーですねえ。親や関係者の観察眼をあなどっていては、小児科領域の地雷にあっさりと踏んでしまいますね。
by 元なんちゃって救急医 (2007-07-15 18:51) 

くらいふたーん

ほんの1週間前の当直でCML見つけちゃったので
あまりにタイムリーで どきっとしました。

30代の男性 主訴は二日前からの上腹部から左側復部痛。
37.6度と微熱。

触診ではパッとしないし 腎盂炎ぽくもない。
「なんか変なことがありそう」
具体的には思いつきませんでしたが そう直感しました。

血液検査に尿検査、腹部CTオーダーしちゃいました。

白血球 9万6千 軽度の脾腫。
上腹部~左側復部痛は脾腫の進行のよるものと考えられました。

あとで血液内科の先生に 好塩基球が多いと胃潰瘍できやすいので
H2ブロッカーも出しておいてくれればいいかも と教えていただきました。
by くらいふたーん (2007-07-15 21:43) 

元なんちゃって救急医

>くらいふーたん様

コメントありがとうございます。わお~~、96000!!!

>「なんか変なことがありそう」

ほんま、これって大事ですよねえ・・・・。
これが、我々のプロとしての感覚ですね。
by 元なんちゃって救急医 (2007-07-15 22:57) 

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